Oct 14, 2015

あなたの会社の商品は「お客様目線」?

販売支援の関係でメーカーさんに訪問する機会も多いのですが、その会社によく掲げられている標語に「お客様目線で」という文言を見かけます。
しかし、その多くのメーカーさんの商品を見ると、お客様目線とはほど遠く「しっかりメーカー目線」が多いのです。
メーカーの経営者は、お客様目線でありたい気持はあるのでしょうが、実際にはお客様の目線には立てていないのです。では何故、お客様目線に立つことが出来ないのでしょうか。
その要因は様々あると思いますが、ここでは「販売現場の角度から」お伝えしたいと思います。
かつて私に商品の販売を依頼してきたメーカーさんに、「どうしてこんな商品をつくってしまったのですか?」と聞いたら、「小売店の担当者に言われたから」という答えが帰ってきました。仕入れてくれる小売店の担当者の話しで商品をつくってしまったのです。確かに仕入れてくれる小売店もお客様には違いないのですが、本当のお客様はその先の商品を買ってくれる一般消費者なのです。私はその商品を扱いませんでしたが、結果的には売れずに店頭撤去され、返品としてメーカーに返されたのです。その返品されたメーカーさんは大量の不良在庫で倒産してしまったのです。
私がエプロンをつけて小売店のバックヤードにいると、営業しにきたメーカーの人の話す話しが聞こえる事がよくあります。商品を持ち込む方(メーカーさん)も、持ち込まれる方(小売店担当者)も架空の想像の中のお客様の話をしているのを聞いて、「ああ、これもまた失敗するんだろうな」と悲しい気持になります。
お客様不在のまま商品が開発され、小売店担当者とメーカーさんの想像の中でそれが具体化してしまうのです。これではお客様目線とはほど遠い「売り手発想」の商品になってしまうのです。
また、商品メーカーさんの殆どは、社長や商品開発者自ら店頭に立って「売る」という行為をしていない会社さんが殆どなのです。
そして、そんな経営者や開発者が商品を作ったり、その道の経営コンサルタントなる者のアドバイスを受けて商品が開発されるわけです
ここの誰もが店頭に立って「売った」ことが無い訳ですから、そこで開発される商品はそんな人々の勝手な想像の都合のいい産物でしかいないわけです。
いやいや!
うちの会社は現場に立ってちゃんとリサーチして
商品を開発しているから大丈夫!」

と思った社長さんもいらしゃるのでは?
必ずこの話をするとこう主張してくる社長さんが多くいらっしゃいますが、現場でリサーチすればお客様目線の商品が作れる訳ではないのです。
「売る」という意志の下に店頭に立つのと、「調査」という目的で店頭に立つのとでは、一見、同じように見えますが全く違ったものなのです。
「売る行為」では無く「調査の行為」では、お客様の話す話しの嘘を見破る事は出来ません。お客様は「買いたくなった」という意識の下ではじめて本音を語るのです。調査会社に依頼して「お客様調査をして商品をつくったのに」という嘆き節を良く聞きますが、「調査」では決してお客様の本音はわからないのです。「調査」は「売る」という行為を通してしか役に立たない事を覚えておいて下さい。
「売る」という行為によって「買いたくなった」お客様が本気になり、「買おうとする」からこそ、お客様は「ああでもない、こうでもない」とうるさいほどに聞いてきたり意見してくるのです。
そこではじめてお客様の目線が見えてくるのです。

新商品をこれから開発しヒットさせたいのであれば、是非「お客様の心理や意識」をしっかりと現場で拾って、商品の細部にわたって反映してみてください。
せっかく作るかわいい商品なのですから、そこに関わる全ての人が「笑顔」になれる商品を是非作ってみて下さい。

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