「製品」と「商品」は大きく違います。
製品しか見えていない会社のモノは絶対にお客様の支持はもらえない。
商品を開発しているメーカーの社長さんで、実は「製品」と「商品」の区別がついていない方が非常に多いのが現実です。
傾向として「うちの商品は絶対どこにも負けません!」という会社の社長さんが「製品」と「商品」の違いが全くわかっていない事が多いのです。(あくまでも私個人の経験上での認識や傾向、解釈です)
それでは「製品」と「商品」って何がどう違うのでしょうか?
「製品」とは、
モノが出来た時点のモノのことを言います。「物流」が起こる前のモノです。
「商品」とは、
出来たモノが市場に出て物流が起こり、お金とモノと交換されて初めて「商品」となります。
お客様の手元に届く「商品」とは、素材そのものにパッケージも付けられ、ネーミングも付けられ、使い勝手やイメージ、購入したあとの満足感など、様々な情報を多く含んでいるモノになります。
しかし、「製品」と「商品」の区別が付いていないメーカーさんは、素材はしっかりしていたとしても、ネーミングが適当だったり、パッケージもおざなりだったり、さらには、お客様が購入するときの心理だったり、購入した後の幸せ感などなど、、様々全くイメージ出来ていないモノが多いのです。
違う言い方をすれば、せっかく素晴らしい素材を持っているのに、残念なモノ・売れないモノになってしまうケースが非常に多いのです。
では、どうしてそんなモノが出来てしまうのかというと、大きくあげれば2つの要因があげられます。
まず1つは、
製品にばかり目がいってしまい、あまりの自信満々な製品が出来上がった事で、この素晴らしい製品は必ず売れると信じ込み、肝心なお客様像や顧客心理を見失ってしまう。
そしてもう1つは、
小売店の店頭に並べたいばかりに、小売店の仕入れ担当者の顔色ばかり伺って仕入れ担当者の希望や要望に勢力を注ぎ、肝心なお客様を見失う事で「商品」とは言えないモノになってしまうのです。
つまり、両方とも「お客様が全く見えていない!」ということが共通して言える事なのです。
会社の信条は「お客様目線に立つ」とか「お客様の立場に立って」とよく言っている会社は多いですが、額縁の中でその言葉が恥ずかしそうにしているのを、そんな会社の社長は知らないのです。
製品が良ければ売れる!というものでは決して無いのです。
私は商品販売において、製品は製品、パッケージはパッケージ、売り子は売り子、といった「分業」の考えは無いと考えています。「分業」は生産工程上の言葉であって、販売における分業はその実効果を失うからです。
そして「売れる商品」に育てていくためには、製品に付けられるネーミングも、パッケージも、価格も、購入心理シナリオも、販売員の考え方もトークも、全て繋がっている大事な要素なのです。
そして、上記の要素に費用を投資していない、又は投資の意識を持っていない「製品や会社」は「だから売れない!」と言っても良いでしょう。
せっかくの素晴らしい素材「製品」を是非大人気の「商品」に育てあげてみてください。
最後に、
冒頭に申しあげました「うちの商品は絶対どこにも負けません!」と言うのであれば「うちの商品は絶対どこにも負けたくありません!」の方が正しい気がします。
負けたく無い意識があるから、知恵を絞り、お客様を観察し、気を抜かないから売れる商品に育て上げることができるのです。「負けません!」という言い切りが、ダメなモノを作り出しているのかも知れませんね。
河瀬和幸